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世界中から来た旅人が集う、本屋をつくりたい。

by SAKI.S

ドイツに留学中、よく旅行に行った。日本からは行かないであろう、ちょっとマイナーな国を目指して。ポーランド、チェコ、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、ギリシャ、マケドニア、ブルガリア、エストニア、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ポルトガル...。フランス、スペイン、イタリア、イギリスは横に置いて。

日本から行ったばかりの頃は有難かった、中世の教会や石畳の街、かわいい家、お城などは、ヨーロッパにしばらくいるとお腹いっぱい、食傷気味になる。だから旅行のメインは専ら美術館、それも現代美術館を回ることだった。

でも私は美術館でかなりの体力を使ってしまうので(座って回れる美術館ってないんだろうか)、一日に回れるのはせいぜい一つか二つくらい。あちらにはどでかい美術館もたくさんあるので、アートとの対峙は体力勝負なのである。というわけで、美術館の合間には本屋さんに行っていた。

ポルトガルのポルトでは、世界一美しい本屋さんにランクインされたらしい本屋さんに行った。なんと入場料を取られるのである。そこではポルトガル人が書いたポルトガルの旅行記を買った。旅行記にはまっていた時期だったのだ。

チェコプラハでは、チェコの作家ボフミル・フラバルの本を探した。それは大通りを少し離れた、30半ばくらいの男の人がやっている古本屋で見つけた。「ミスター・カフカ」という本だ。

スロバキアの首都ブラチスラバへは一人で行ったので、小さい街を本屋さん求めてさまよった。偶然見つけた大通りにある、ガラス張りの今風本屋さん。英語の本もたくさん置いてあった。スロバキア語で書かれた古事記が平積みされているのを発見して、興奮したのを覚えている。

古本屋やブックカフェは、わざわざネットで探して行った。何度もその前を通っても、それだとわからなかった古本屋。入り口がぼろっちくて、ちょっとのぞくとおじさんしかいなくて、入る勇気がなくて一旦諦めかけたけれど、でも今逃したら一生来ないだろうなあと思ったから、えいやってドアを開けた。そうしたらバーの後ろから、マスターらしきおじさんがハローと挨拶をしてくれた。全然人がいないと思っていたら、結構テーブルは埋まっていた。なんだ、見かけによらないじゃんか。そこには、私が気に入っていたパリのヘミングウェイ時代が書かれた本があった。帰りの荷物が重くなった。

本が好きだ。本に囲まれた空間が好きだ。旅行してても、本が好きだ。旅行に行ったら、その土地の人が書いた本を買いたくなる。アメリカ文学とか、イギリス文学とか、フランス文学だけじゃなくて。でも以外に見つけるのは大変だった。その国に関心をもつ、一歩になるかもしれないのに。

かつて、自分が50万円もらえるなら何がしたいかなと考えた。出てきたのは本屋さんだった。その思いはなんだかんだ、今も持っている。

私は旅行しながらも、本屋を巡っていた。だから私も、日本に旅行しに来る外国人向けの本屋さんをやってみたい。村上春樹や川畑康成とかだけじゃなくて、古今和歌集や今日マチ子や漫画や絵本が置いてあるやつ。どなたか一緒にやりませんか。

本の匂いがする書架に行くと、自分はここでは守られているんだ、という安心感に包まれる。ほっとして涙が出そうになったこともあった。そんな空間を。

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