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るんるんを買って本を。

by SAKI.S

ドイツから帰国したら、駅前の本屋さんがなくなっていた。

駅前から続いている昔ながら、というかどこにでもあるような商店街には、どこにでもあるような本屋さんがあった。新刊とか雑誌とかが置いてあるところ。しかめ面したおじさんが新聞読んで留守番しているようなところではなくて、チェーン店、でもTSUTAYAとか有隣堂ほど有名じゃないやつ。

好んで行く本屋さんではなかったけれど、夜家にいてふとウェブで調べた本が読みたくなったとか、エッセイが読みたい気分だなとか、帰りに電車から降りて気になる漫画買いに行こうとか、ちょっと家帰る前に気分転換したいなってときに行っていた。

何の変哲もない本屋さんだったけれど、なくなったことを知ったときはのどのところがすーすーした。家の近くに本屋さんがないって、こんなに心もとないんだ。

卒論が終わったので、久々に小説を手にとって買う。西加奈子の『舞台』。現代作家さんの小説を買うのは久しぶり。西加奈子さんは初めて手にとったけれど、テヘラン生まれカイロ育ちなんだ。『舞台』の舞台もNY。最初の数ページを読むと、NYの朝食がいかにまずくて高いかについて書かれている。あ〜なんかリアルだな。旅行で気合い入れて朝ごはん食べに行って、結局失敗することあるよね。あれ、このコーヒーとクロワッサンとスクランブルエッグだったら日本で同じもの食べた方が安くて美味しいんだ、って。

この小説の表紙はポップな色づかいでNYの街並みが描かれていて、レジで「ありがとうございました〜」って見送られたあと無性にるんるんとなった。本を買うだけでるんるんできるなんて、幸せなことだ。ありがとう神様、ありがとう西加奈子。

電子書籍がどんどん出てきて便利になっているから、あ、これ欲しいと思ったらポチッと押して買うことが増えた。でも本屋さんに行って、表紙を手にとって、レジに並んで、お金を渡してお釣りとレシートを受け取って。その一連の流れって面倒だけれど、本を買った〜って気分になって、るんるんする。

本屋さんのるんるんって、やっぱりリアルな本屋さんで面倒くさいことをするからこそ手に入るのかもしれない。決して反比例の関係じゃなくて、むしろ比例しているかもしれない、そんな面倒くささとるんるん。

それでは、また。

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SAKI.S
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