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漠然とした不安はどこからくるの?

by SAKI.S

帰りの電車に乗っていると、ふと香ばしいパンの匂いが漂ってきた。パン?と思ってあたりを見回すと、すぐ隣に白いぱりっとした紙袋を二つ掲げている、上品な初老の女性がいた。

中身は見えなかったけれど、彼女はどんなパンを買ったんだろう。外はかりっとして香ばしい小麦色で、なかは真っ白でもちもちとしたフランスパンかな、なんて勝手に想像する。

スーパーで6枚切り98円の食パンを買っている場合じゃないなあ、と思う。まあけっこうおいしいからそれはそれでいいんだけれど。安いので気兼ねなくフレンチトーストとかにできるしね。

このあいだ朝起きると、漠然と不安な気持ちに襲われた。この不安がやっかいなのは、何が不安なのか特に原因がわからないことだ。不安になると心臓がぎゅううと縮む気がして息苦しいかんじになるので、原因不明はつらい。

でも、前にもこんなことあったなあと考えると、漠然と不安を感じるパターン、が見えてきた気がする。それは、自分が変わるとき・変わろうとしているときだ。

前回漠然とした不安に襲われていたのは、ドイツに留学に行くかどうか悩んでいる大学3年生の後期のことだった。周りが就活にすすむなか、私は4年次から留学に行こうとしていて、今まで歩いていた”メインストリーム”の道を外れてしまうのがすごく怖かったのだ。

留学が決まって留学を終えて、卒業もしてしまった今となっては、なにをそんなに怖がってたんだろうと思う。でもそれまで歩んできた道を外れる気がして、自分が今までの自分と変わっていく気がして、不安だったんだろう。

今の自分もだからちょうど、変わっていく時期にいるんだろう。

何が変わっていっているのかなと思ったんだけれど、おそらく「人に嫌われる自分になること」だ。人に嫌われるのが怖くて、そして人を嫌うのもいやな自分だけれど、合わない人とは無理に付き合おうとはせず、距離を置く。それで嫌われても仕方ない、とわりきる。そうせざるを得ない時期とか生き方のフェーズに来ているんだろう。

言葉にするとこんなにシンプルなことが、なんで怖いんだろう。でもきっと、「嫌われる」ことを受け入れられたあかつきには、何をそんなに不安がって怖がってたんだろう、と思うんだろう。かつての、留学に行く前の私が変わったように。

「自分」は自分が思っているよりもはるかに多様性に満ちているし、可変性に富んでいる。そのことを忘れ、「これが私」と思い込んでいるから、そんな自分が変わって行くのは、自分が自分でなくなる気がして怖いし、不安を感じるのだ。

人はたくさんの「他者」を、自分の内側に抱え込んでいるというのに。

でもやっぱり嫌われてでも距離をおく、という決断をしたのは私にとってハードルが高いことだったから、「嫌われる勇気」を読み返したりしている。人は徐々に徐々に変化し、気づいたときにふと、ああ、変わったなあ、と思うんだろう。それは、気づいたら変わっていた街の風景に、似ている。

それでは、また。

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