LOG IN

人生最良の選択

by SAKI.S

先日、カズオイシグロのエッセイを書いていたので、ふと大学時代のことを思い出した。

思い起こせばカズオイシグロとの出会いは大学の授業だし、彼自身の講演も大学で行われたので、ゼミのみんなで見に行ったりした。そんな私の学部はもちろん文学部である。(英文学ではなく、独文学だったけれど)

私の決して長くはない24年間のこれまでの人生で、人生最良の選択は、文学部を選んだことだと思っている。

結婚相手は、比較検討した結果選んだという感じでもないので「選択した」という感覚が少ないし、大学は第一志望ではなかった。今の仕事は本当にもうご縁だなと思っているし、これまでまあまあいろいろある住んできた場所も「住みたい!」という思いが先行していたわけではない。

そんななか、文学部だけは「選択した」という感覚がある。最初は商学部かなとか思っていたけれど、社会心理学に興味がわいて文学部に絞った。

入学後、実際に心理学の授業を受けてみたら「なんか違うな」となったので(科学的データを用いての研究に興味がわかないことがわかった)、結局独文学を選んだけれど、文学部でとった授業はなんだかんだ自分が興味あることと一致していた。

文学、文化論、美術史、芸術論、アートマネジメント、哲学。役に立たないとされる、ことばかり。

興味あるといいつつ授業中寝たことも途中から行かなくなった授業も多々あるけれど、卒業して思うのは、授業で文学作品を読めるなんてなんて贅沢だったんだろう、ということだ。

本屋をやったり、アート系のメディアで書いたりと、大学時代とちょっとはつながりのあることをやってはいるけれど、でも文学部で学んだことが直接役にたっているなあとは、特に思っていない。

でも、そんなことがどうでもよくなるくらい、興味ある分野の学部に進んだおかげで、「勉強できれば他に何もいらない」と知識欲にかられた経験とか、興味範囲が広がる経験とか、全く違うと思っていた2つが突然つながるおもしろさとか、そういうものが、たくさん、学部時代にはつまっていて。

まだ全然上手く言えないけれど、「就職のため」に興味とは違う学部を選ばなくて、「学ぶって純粋におもしろい」と思えた文学部を選んで、ほんとうによかったと思う。

ほんとうは、文学部の普及のためにもっと文学部の良さとか意義とかおもしろさを伝えられるようになりたいんだけれど、なかなか言語化できない。だって、「こう役に立ちますよ」というような安易な一言に、文学部を回収したくない。

だから、まずは現時点の、個人的な想いから。

文学部を選んで、ほんとうによかったと思う。もしこれを読んでいるあなたが高校生で、文学部に行きたいけれど就職にあんまり有利じゃない(とされている)から、役にたたないから、行くか悩んでいるとしたら、迷わず文学部を勧めたい。

学ぶっておもしろいって気づける方が、速攻で役にたつ何かを学ぶよりも、きっと長い人生においては、味わい深いものだと思うから。

真夜中に書いているのでちょっと感傷的になってしまった。

それでは、また。



SAKI.S
OTHER SNAPS