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花咲く季節に

by SAKI.S

インタビューをしていると、ふとした文脈で、思いがけない言葉に出会うことがある。

「どんな人を採りたいか」という話をしているはずだったのに、ふと気づいたら、日本人の働き方についての話になっていた。

「ワークがライフになるような、そんな自由な働き方を広めていきたい」そこだけ聞くとふうんって感じだけれど、会社を継いで、立て直して、これから新しい事業へと挑戦する軌跡を聞いてからその言葉を耳にすると、ずっしりと心の奥まで響く。

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ちょうど私はそのとき、どうも自信がなくて。夏が苦手だから季節によるものかもしれないけれど、自分のやっていることに自信が持てなかった。書くことも、本屋も、新しく始めた仕事も、どれも大事なはずなのに、どこに一番力を入れたいのかも、どこを目指しているのかも、なんとなくわからなくなって、どこか立ち止まっている。

そうすると、あれ、なんで私そもそも就職しなかったんだっけ、というところまで話が戻る。新卒で就職せずにフリーになったので、目指したいところがぶれてしまうと、根本から、自分の選択した人生が崩れ去ってしまう。

「個人の尊厳と多様性を少しでも上積みしたい」という、ライフテーマみたいなところを忘れてしまったり、そこに熱がこもっていないと、自分の指針がぶれるようで、あっという間に自信を失ってしまう。就職してバリバリ働いている人や、子供を育てている人、フリーでバリバリ書いている人、どんな人であれ、目にした人がキラキラ輝いてみえて、いちいち自分と比較して、落ち込んでしまう。

そう、自分のなかの「指針となるもの」がなければ。

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そんなとき、冒頭の言葉を聞いた。思いがけないところで、思いがけない人から聞く言葉。自分が圧倒的に共感する言葉を、誰かほかの人の口から聞くとき、「それ、私が言いたかったことだ」って言葉が聞けたとき、思わず鳥肌がたつことがある。

なんでだろうね、自分が一人じゃないっていう、誰もが抱く孤独感、みたいなものが癒されるからだろうか。共感してもらうより、思いがけないところで共感できる言葉を耳にするときの方が、少なくとも私は、涙が出そうなほど、鳥肌が立つほど嬉しくなってしまう。

なんでだろうね、自分が一人じゃないっていう、誰もが抱く孤独感、みたいなものが癒されるからだろうか。共感してもらうより、思いがけないところで共感できる言葉を耳にするときの方が、少なくとも私は、涙が出そうなほど、鳥肌が立つほど嬉しくなってしまう。

そうやって、自分の指針を思い出す。自分自身が、こんな働き方もあるんだよ、って示せたらな、って思うこと。新卒で就職しなかったり。フリーでやったり、バイトと掛け持ちしたり、両親と一緒に働いたり。

もちろん、こんな働き方が正しいなんてちっとも思わない。でも、こういうのもあるんだ、って、自分の働き方に逃げ道を見出せない人がいたら、そんなふうに思ってもらえるひとりになれたらな、とは思ってる。

もちろん、こんな働き方が正しいなんてちっとも思わない。でも、こういうのもあるんだ、って、自分の働き方に逃げ道を見出せない人がいたら、そんなふうに思ってもらえるひとりになれたらな、とは思ってる。

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花咲く季節。花の色も緑の色も、目に眩しいくらいの、苦手な季節だけれど。

そんな季節は、私に忘れもの、を届けてくれた。

夏はこれからだから。思いがけないところで、思いがけない人に、言葉に、出会えるかもしれないから。

花咲く、季節に。

それでは、また。

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