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しあわせな物語でなくても

by SAKI.S

どうも調子が出ないなあ、5月病ならぬ4月病かななんて思っていたら、あっという間に4月病が5月病になってしまった。書きたいことと、読みたいものがないのだ。例えるなら、ランプに火が灯らないかんじ。

読みたい本がないこと、書きたいことがないこと、学びたいことがないこと。この3つがないと、何をしていてもどこか、どんより曇り空で。

とはいえ、小説で読みたいものがちらほら出てきたので、少しずつ読んでいる。最近はもっぱら海外作家...というか、アメリカ文学だ。ポール・オースターのガラスの街を読み返し、レイモンド・チャンドラーのロンググッドバイ、グレイス・ペイリーの人生のちょっとした煩い、レイモンド・カーヴァーの必要になったら電話をかけてに頼むから静かにしてくれ。どうも村上春樹訳に偏っているけれど。

こうした小説の、ぱっとしない日常とか、理不尽なことに巻き込まれるとか、そんな架空の『人生のどうしようもなさ』を読んでいると、なぜだか逆に元気が出てくる。私の人生まだましだ、とか、そこに救いがあって人生捨てたもんじゃないな、とか、そういうことじゃなくて。なんだろう、そもそも人生はパッとしないかもしれないけれど、それでもそのなかにキラッと輝くガラスが混ざっているような。それを文章のなかから拾い集めていくような。

それは必ずしもイコール幸せではなくて、悲しいとか、切ないとか、寂しいとか、そんな感情であっても、心が動く瞬間、みたいなものだ。

リアルな生活でだと、ブルーな感情に溺れてしまうけれど、小説で感じるそうした感情は、ときにキラッと光るものになって、私の心をあたためてくれる。

だから物語は、必ずしもあたたかくて幸せなものばかりである必要はないんだと思う。文章と言葉で紡がれた感情や風景、人物に動かされば、それがランプの火になるから。

書きたいことがない、と言って書かないままだといつまでもそのままなので、書きながら書きたいことが出てくるはず。そう思って、書いている。

それでは、また。


SAKI.S
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