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自分のため、のその先に

by SAKI.S

この歳になってやっと、自分のためにおしゃれをするようになった。

最初におしゃれすることに目覚めたのは、小学校高学年のときだったと思う。年に一度の日本で、メゾピアノやブルークロスガールズとかで誕生日プレゼントを買ってもらうのがすごく好きだった。

メイクはまだできなかったけれど、リップグロスやネイルを知ったのもこのころ。毎月届くmelonやnicolaといったファッション誌をじいっと読んでは、日本のおしゃれな女の子とかわいいショッピングができる環境に憧れていた。

そのままおしゃれ好きな女子を突っ走ればよかったのに、どこでポイント切り替えを行ったのか、思春期に突入すると逆に、おしゃれに興味を失っていった。年齢的に似合う洋服が少なかったのもあるし、平日は制服だったのもあるかもしれない。

ふと気づくと、まわりは彼氏ができるような年齢になっていて、私のおしゃれは多かれ少なかれ、モテを意識したものになっていった。服を買おうとするとき、頭の片隅で、もはや無意識と呼べるレベルで、この服は男子ウケするのか、ってことを考えていたと思う。

そのまま大人と呼べる年齢にさしかかるころには、ファッションにはモテをプラスして、マナーだという意識が私の大半を占めていた。ファッション誌を開けばどこもかしこもモテを意識したもので疲れてしまう。かといってテキトーな格好で人に出会う年齢でもない。メイクもファッションも、まあ合格点だよねっていう程度のところを維持することだけ頑張っていた。メイクもファッションも、私にとっては努力するものだし、人に不快感を与えないっていうマナーだし、異性に異性として意識してもらえるための手段でしかなかった。

だから、どうしようもなくおしゃれがつまらなかった。

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そんな私が、セルフとはいえネイルをするようになったのはここ最近のことだ。たかが100均ネイルなんだけど、あんなにつまらなかったおしゃれを楽しいと思えている自分自身に驚いている。

そういえば、とふりかえる。服一着買うくらいだったら本か美術館か旅行に使いたいなと思っている自分が、今年の夏はマキシ丈のスカートが欲しいなあと思っているのもここ最近だ。メイクが楽しいと思えるようになったのも、ヘアアレンジを自分でしてみようと思ったのもここ最近。

25になって、やっとおしゃれって楽しいんだなあと思えて、女に生まれた醍醐味みたいなものを感じられて嬉しいというか、なんだかほっとしている。

爪先に自分の好きな色があるとテンションが上がるし、楽チンではあるけれどどこかディテールにこだわった服を着ると、それだけで気持ちがしゃんとする。

メイクもネイルもファッションも、おしゃれは何もかも、自分のテンションや身体のコンディションに跳ね返ってくる。

爪に派手なネイルしない方が男ウケがいいっていうのは知れ渡った説だけど、それがなんだと今は思う。指先はまず自分のためにあるのであって、その爪先が自分の好きな色で塗られていたら、こんなに落ち着いてわくわくすることはないんです。

モテを意識しないおしゃれって、こんなに楽しかったんだ。

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結婚して1年ほど経ったので、ふと気を緩めるとあっという間に外見に気を遣わなくなっちゃうんじゃないかとちょっと心配だったんだけど、自分の場合は逆に、モテたい、異性に異性と見られたいっていう欲望、必要性、義務感、みたいなものから解放されたのか、自分のためにおしゃれができるようになった。

なんでもそうだけれど、やっていることの根底に自分のため、つまり自分の楽しさとか喜びとか幸せのためにっていうのがないと、どこかで楽しくなくなってしまう。モテのためでもマナーのためのおしゃれでも、根底に自分のためっていうのがないと、おしゃれがとたんにつまらなくなったように。

書く、ということも同じだ。誰かを救いたい、とか、役に立つことを届けたい、とか、伝えることで社会を変えたい、とか、いろいろあると思うけれど、根底に自分のため、というのがすっぽり抜けていると、どこかで行き詰まってしまう。

私の場合は特にそうで、やっぱりこうして感情とかふわふわ思っていたことの整理のために、なにかを書くという書く時間がないと、どこかで書くこと自体がつまらなくなる。ぱさぱさと、言葉が乾いてゆく。

そういう「自分のため」がゆくゆくは、誰かのため、社会のため、にじわじわと広がっていけばいいんだと思う。楽しい、嬉しいという自分の感情が満たされれば、自ずと視線は外を向いていくし、なによりも長く続けていくことができるから。

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縦書き明朝体はとても心地よくて、ついつい長く書いてしまう。すごいな、縦書き明朝体。もっとこれで書いていきたいし、このスタイルウェブで広まっていってほしい...!

それでは、また。

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