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くるくるくるくる、

by SAKI.S

帰り道、ふと右手のほうを見やると家がなくなっていた。

確かに、ここ一週間ほど玄関がビニールシートで覆われていてなんだろうって思ってたけど、まさかこんないちにちで、家がなくなるなんて。

とはいえ、まだ全部が解体されてたわけではなくて、むき出しになった柱や、取れかけの扉や、底の抜けた床なんかが暗闇に浮かび上がって、ぞくりとさせられた。

同時に、漂ってくる「鼻慣れない」におい。でも一方で、どこか懐かしいにおい。臭い、ってほどじゃないけれど、長年家のなかに閉じ込められて、醸成されたにおいは独特だ。

通りをはさんだ向こうには、施行中のマンション。いつまで工事してるんだろって思ってたけど、一夏が終わるころには立派にエントランスに光が灯ってた。

どうやら私が思うよりはるかにはやいスピードで、家は建ったり壊れたりしているらしい。たぶん私が生まれて大きくなるまでは思ったより早かったんだろうし、私が死んでもまわりの世界は思ったより早く回復するのかもしれない。

くるくる、くるくる。世界はたぶん、私が思うよりはるかにはやく回転している。良くも悪くも。

それでは、また。

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